鉄道郵便局乗務員事務室食堂で作られた ~ ここだけの夜食 ~

特製「つる ● 茶碗蒸し」

 乗務員が行き先地で宿泊する事務室は、各自の給与から運営費を出し合って食事代、寝具その他の休養に必要な経費をまかなっていました。郵便車連結列車が終日数多く往き来する主要幹線の乗務員事務室は深夜早朝でも乗務員の出入りがあり、仮眠を終えて出発、あるいは到着して仮眠するなど不規則な折返し時間を過ごしました。
 コンビニなどなかった時代のこと、食堂はいつでも使用でき、湯沸かし、お茶の準備が行われていたほか、行路によっては到着後の深夜に乗務員の手で簡単な食事をする場合もありました。食堂勤務の人は翌日の朝食に備えて夕刻にご飯を炊き、味噌汁やおかずを作って帰り、翌朝また作り直すことをくり返していたようです。
 さて、会長が所属した局の乗務先にあった大規模な事務室では、深夜到着の行路の場合、代金箱に決められたお金を入れて、飲み物や生玉子などを冷蔵庫から自由に取って飲食できました。例えば1個10円(?)だった玉子をどうやって夜食でいただくか・・・目玉焼きなんかが定番でしたが、飽きてくると智恵をしぼって独自の夜食を考案しました。その中のあるレシピをご紹介します。

①準備するもの

 味噌汁がたっぷりと入って長時間放置された鍋、生玉子1個

②作り方
  
味噌汁鍋のふたを静かに取り、味噌が沈んでいること    湯飲み茶碗、コーヒーカップなどにうわずみを              生玉子を入れる
を確認した上で、上の透明な「うわずみ」をすくい取る    全体の3分の2程度入れる
    

          よ~~く かきまぜる                   電子レンジに入れて加熱            表面が固まったら少しスプーンで掘り起こす。

                                                                   中まで固まっていればできあがり。

しょうゆを少し入れると味に深みが・・・。 いっただきま~~~っす (^^)


③一般的留意事項
・一度に多くの数を作らないこと
 → うわずみを取り過ぎて味噌汁の量が少なくなると・・・その日の朝食で
    某便長「おばちゃん、けさの味噌汁、えらい辛いでぇ」  食堂係の人「・・・???」

・限られた乗務員だけで秘密裏に作り、乗務課全体に広めないこと

・食器棚に茶碗蒸しに適した容器やれんげさじがあっても用いることなく、湯飲み茶碗、コーヒースプーン等を代用すること

 → 理由は推して知るべし

④具体的留意事項

・味噌汁鍋を揺り動すことなく、鍋の中を決してかき混ぜないこと

 → 沈殿している味噌がうわずみと混ざらないようにする。わずかな振動ですぐに上がってくるので注意。

・味噌を含んだうわずみで作ると美味とはいえない
 → うわずみの透明度とだし汁の効きめが味のポイント
・味噌汁の具は決して取らないこと
 → 汁だけをいただく立場であるので、具をいただくのは厚かましく、道義に反します。
 → 汁だけでも十分に罪悪感が・・・
 
以上です。このレシピは広く知られることなく、一部の乗務員による、ささやかな楽しみとなりました。
みなさんもご自宅や職場などのキッチンで、深夜の郵便車乗務員食堂の味を試されてはいかがでしょうか。

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