喫茶室

外国から助っ人?郵便車

昭和50年代に入っても郵便物輸送総量は横ばいの中で鉄道郵便車による輸送は依然として活発で、扱い郵便車は予備車が十分に確保できず、全般検査などの長期入場時にあっては、代用郵便車を起用するなどの措置も講じたが設備が臨時的なもので区分作業が繁忙な鉄道便では、車内区分作業に支障をきたしていました。そこで、諸外国の郵便連合などに扱い郵便車の貸与を呼びかけたところ、オーストリアF4形式郵便車1両の貸与を受けることができ、同車は船積みされて日本を目指しました。到着地の神戸港には牽引機関車と国鉄狭軌(1067mm)の台車が待機し、クレーンで上陸したF4形は台車装着の上で埠頭からはDE10で引き出され、神戸港貨物駅から工場まではEF58で牽引されて国鉄線を走行可能なように整備され、ほどなく荷物列車に連結されて運用が開始されました。しかし、車内設備のうち特に区分棚が枕木方向に配置され(日本では前後方向)、郵袋室との通行が不便であったほか、郵袋掛けのサイズが国内の郵袋と合わないなどの不都合があり、運転面からは車体断面が広軌向けで大きくなっているので、トンネル内壁にこするなど建築限界上の制約で使用線区が制約されること、車両重量の増加で機関車牽引力の負担となること(連結した場合に荷物車を1両減車)、ホームと車両の接触のおそれがある箇所では保線区がレール位置をホームから離れるよう修正した結果、電車が発着するとホームとの隙間が広くなるなど、数々のデメリットも発生したので、短期間でオーストリアに返却しました。(礼状を添えて) しかし、このときの車体整備と線路設備対応のノウハウや経験が、後のオリエントエクスプレス日本上陸、全国運転に生かされたと言われているが、真相は定かではありません。

  
                   DE10
牽引で神戸港を移動                                         EF58牽引で車両工場に回送                          荷物列車で本格運用するF4郵便車

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