名古屋鉄道郵便局 大阪乗務員事務室跡
2016年5月31日
太平洋ベルト地帯を貫く鉄道線は東海道本線と山陽本線で、郵便線路は東京門司線が走っており、大阪駅はその中間に位置する重要地点でした。名古屋鉄郵局の乗務区間は浜松大阪間で、大阪鉄郵局の大阪糸崎間乗務員と交替しましたが、名古屋鉄郵の乗務員が折返し時間に休養したのは大阪鉄郵の施設ではなく、独自の乗務員事務室を大阪駅近辺に設置しました。他の鉄郵局と共同ではないため、浜松乗務員事務室に比較すると小規模ではありましたが、便数の多さから滞在人数も多く、中規模の施設でした。場所は大阪駅から徒歩10分ほどの、旧梅田貨物駅近くにあり、1986年(昭和61年)10月1日に東京門司線が廃止になるまで使用され、ここも最後まで残った事務室です。
1948年(昭和23年)に大阪市(旧)大淀区(現北区)に開設され、1950年7月31日に福島区に木造で新築移転され、1973年11月28日に鉄筋コンクリートに建て替えられました。事務室内には全局員の寄付によって庭園が置かれ、「乗務員の疲労回復や和やかな雰囲気づくりに大きく貢献した」と言います。その後、倉庫や新館の増築がありました。近所で商店を営む方は、乗務員がよく買い物をしていたことを聞かせてくれました。
鉄道郵便局廃止と共に廃止・解体され、跡地には世帯用郵政職員宿舎(官舎)が設けられました。しかしそれも郵政事業の民営化後に解体されました。跡地の周囲は住宅やオフィスビル、町工場が入り交じりますが、梅田貨物線を走る列車の音が聞こえ大阪駅ビルに近いことから、民営郵政の経営改善を目指して売却を待っています。 画像は「名古屋鉄道郵便局史」「DVD鉄道郵便」から。跡地は会員撮影。
1950年7月 1973年に改築の鉄筋建て
寝室の様子 食堂の一角にある休憩場所 立派な灯籠がある日本庭園
ビール、ドリンク自販機とテレビがある
テレビ「朝潮勝ちました!北天佑負け・・・」
食堂の様子 テーブル上の米びつがデカい 「喫食時間」の表現が独特
※乗務員事務室の重要な役割は、折返し乗務の事前準備をすること
大阪駅郵便列車時刻表 乗務員押印表 日付印を送致証等に押しておく 封かん具(通称スルメ)に押印しておく
乗車便を確認する 車内は繁雑を極めるので下準備が大事
ゴム印がずらり・・・ 郵袋標札に押す 1980年頃の電電公社テレフォンガイド
「長野県平岡箕輪間」など他線区乗務員宛てのものがある
【跡地の変化】
跡地に建つ郵政宿舎(2010年4月) 更地となり売却を待つ跡地(2013年7月)